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「顧問就任を前提とした希望調査」が改められることになりました。(請願の結果報告)

2024年2月22日


 教員にサービス残業を強いる部活動運営・学校運営を一刻も早く改めるため、そして部活動の地域クラブ活動への移行を後押しするため、私たちBMTIは茨城県の中でも先導的な役割を期待されているつくば市の教育委員会に対して請願法に基づく請願を行いました(2023年10月18日のブログ記事参照)。今回の記事では、つくば市教委の定例会における請願審査の様子や、審査結果を踏まえた市教委の対応について、ご報告いたします。


 請願の審査は、10月の定例教育委員会の中で行われました。BMTI代表の神谷も当日出頭し、請願の趣旨について以下のとおり補足の陳述を行いました。

 請願の趣旨について、この場をお借りして補足をさせていただきます。つくば市では、今月から、市役所の窓口受付時間が短縮されました。このことについて、五十嵐市長はご自身のX(旧Twitter)で次のように説明されています。『「職員の勤務時間=窓口受付時間」という残業必須の無理ゲーでは、住民サービスは向上できません。残業前提の受付時間から脱却し、職員が適正な働き方になり、業務改善の打合わせ時間等も生み出すことが結果として行政としての質の向上に繋がると考えています。』以上が引用部分です。言うまでもなく、残業必須の無理ゲーからの脱却が必要なのは、学校教員も同じです。教員という職業を、児童生徒一人一人にしっかりと向き合うことができると同時に、教材研究や自己研鑽の時間も十分に確保できるような真に魅力ある職業とするためには、勤務時間外に及ぶ業務までもが当たり前のように押し付けられてきた従来のあり方を見直す必要があると思います。そうした業務の代表例こそが部活動ですので、まずは一刻も早く教師が部活動の指導に携わる必要がない環境を構築していただきたいです。公務員の労働環境改善に対しては、今や当事者だけでなく、幅広い層からの支持があります。先述した五十嵐市長の投稿に圧倒的多数の市民が賛意を表明したことは、その証左であるといえるでしょう。請願書の中では、具体的な請願事項として3つ挙げさせていただきました。私どもとしましては、やはり最終的なゴールは部活動を地域クラブ活動に移行することだと考えています。しかし、移行が完了する前だからといって、教員に部活動顧問への就任を強制して良いわけではありません。このことは、昨年度末の県教委通知によって一層明確になりました。教員一人一人が部活動顧問に就任しないという選択を行えるようにすることは一刻も早く徹底される必要があるのではないでしょうか。つくば市には、本請願を採択することによって、他の自治体のお手本となっていただきたく存じます。ご審議のほどよろしくお願いいたします。

つくば市公式Webサイト「教育委員会会議録(令和5年度)」より


 この後、3つの請願事項それぞれに対する意見が各委員から出された上で、結論としては趣旨採択という形になりました。当初の予想どおり、完全な「採択」へのネックになったのは3つ目の請願事項で、「部活動又は休日部活動を廃止する年月を早期に確定」することは現時点では難しいとのことでした。ただ、掛川市、周南市、福井市、奈良県など、「廃止」を宣言する自治体が続々と現れているところですし、廃止の期限を明確にしなければ「受け皿不足」を理由として教員に負担を押し付けるシステムが継続されかねません。今すぐは難しいとしても、来年度中には(休日)部活動を廃止する年月を確定し、公表していただきたいものです。


 一方、請願事項の1と2に関しては、委員の方々から賛意を示すコメントや補足意見こそあったものの、反対意見は皆無でした。いずれも国や県の方針に沿った対応を求めるものですから、当然といえば当然です。この結果を踏まえて、BMTIからつくば市教育局に対して「具体的に何を行うか」を文書で回答するよう求めたところ、12月27日に以下の記載を含む文書を拝受しました。

つくば市教育委員会からの回答書より(全文はこちら


 つくば市公式Webサイト上にアップされた部活動の地域移行に関する方針をみると、地域移行(地域展開)が必要とされている背景や、健全なスポーツ・文化活動体制構築のポイント等が、説得力ある言葉とともに簡潔に示されています。これらは、つくば市民にとってだけでなく他の自治体の市民や関係者にとっても参考になる内容ではないでしょうか。今後のさらなる情報発信に期待したいと思います。


 そして何より、部活動顧問の希望の「有無」をしっかり聞き取るよう校長に求めたことには大きな意味があります。これによって、県教委からの「顧問への就任を強制してはならない」という指導に伴って校長が執るべき具体的な措置の一つが明らかになりました。顧問就任を前提に「第一希望:○○部」「第二希望:△△部」とだけ書かせるような希望調査は「強制しているも同然」ですので、顧問への就任を「希望する・希望しない」の欄を設ける等の改善が必要です。もちろん、就任を希望しない教員へのパワーハラスメントや監禁まがいの説得は決して許されません(こちらの動画参照)。もしそのような事象に遭遇したら、教育委員会のハラスメント窓口に直接相談するか、BMTIにご相談ください。


「顧問就任を前提とした希望調査」のイメージ ※内田良(2018)より


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