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今年も浜松学院大学での講演を行いました。

2022年6月4日


 BMTI代表の神谷です。5月12日に浜松学院大学の「現代社会における教育」という科目の中で部活動問題について講演する機会をいただきました。ありがたいことに、3年連続3回目の講演となりました(昨年についてはこちら)。


 今年は、BMTIメンバーである茨城県立高校の教員Aもオンライン参加しました。まずは私から30分ほどプレゼンテーションを行った後、教員Aと私とで学生さんから出た質問や意見への応答を行いました。以下では、講演と質疑応答の内容をごく簡単に振り返った上で、授業後に学生さんに書いてもらった感想の一部を紹介したいと思います。



 講演については、基本的には昨年と同じ構成にしました。ここ最近の動向に合わせて「部活動の地域移行」に関する内容を多めにした分、前半はぎゅっと凝縮した内容にしました。しかし、BMTIとして最も強調したいポイントが「顧問選択制の必要性」であることに変わりはありません。部活動指導員の導入や部活動ガイドラインの策定だけでは教員の人権が侵害されている状況から脱却できず、それは子どもにとっても社会全体にとっても不利益であるという観点からお話ししました。


 部活動の地域移行については、図で基本的なイメージを持っていただいた上で、スポーツ庁の検討会議で出されている提言案のポイントをいくつか紹介しました。地域移行には課題も多く、部活動における教員のタダ働きが(近い未来に)解消される見込みは薄いと言わざるを得ません。そうしたことが「顧問拒否」等の当事者運動を加速させる要因になっていることについても触れました。




 事前のアンケートで、3名の学生さんから「複数の教員で顧問を分担すれば一人あたりの負担は減るのではないか」という意見が挙がりました。これについて私からは、「複数顧問制にしたところで業務の総量が減るわけではない。また、部活動指導をすることが難しい教員も含めて無理やり負担を平準化することは、校務全体でみるとむしろ非効率ではないか」とコメントしました。教員Aからは、「さんざん言われているように、そもそも顧問への就任命令自体の違法性が高い。本質的に部活動が内包している労働問題に手を付けずに『負担の平準化』というのはいかがなものか」とコメントしました。他にも、部活動の全国大会はやるべきではないか、生徒主体の部活動にすれば教員の負担も軽くなるのではないか等の意見がありましたので、それぞれコメント返しを行いました。学生さんが各々の考えを深めるきっかけになっていたら幸いです。


 授業後の課題として、学生さんに今回の授業に関する感想やBMTIへのコメントを書いていただきました。字数の指定がないにもかかわらず、1,000文字に近い長文で自らの考えを整理されていた学生さんが2~3割おり、大変嬉しく思いました。以下、いくつかをピックアップして掲載させていただきます。(再びコメント返ししたい内容も多く含まれますが、ここでは掲載のみに留めたいと思います)


私は子どもたちが直面する問題を考える事はあっても、現場で起こっている問題に目を向ける機会は少なかった。教師の人権が軽視され、それが改善しがたい事情である事は、実際に問題に専門的に取り組んだり、現場に身を置いたりしている人でなければ分からないと思うので、お話を聞くことが出来て、とても勉強になった。私は部活動を行うことに賛成だった。なぜなら、授業では学べない経験や能力を補う場として、部活動は重要な教育手段だと思ったからだ。しかし、背景で人権問題になる程不条理な立場に置かれている教員の事を理解できていなかった。……学校が子どもにとって、社会にとって便利で都合のいい場所になるのではなく、教員にとっても息のしやすい場所にする必要がある事をもっと重く捉えるべきだ。……理想の教育現場を実現する為には、地域や家庭、もっと大きなコミュニティ等の理解、協力も必要だろう。まずは、子ども一人ひとりと向き合う事、それが出来た上での部活動ではないだろうか。

私が今回の授業を受け正直に思ったことは神谷さんが説明していた部活動の「地域移行」についてで、部活動を地域のスポーツクラブに移行すると言う考えはとても良いと思ったが私は親目線で考えた。先生は自分の仕事も減り余裕がでてとてもいいと思う。生徒も特に部活動と変わらず行えていいと思う。だが、保護者はクラブとなると変わってくるのではないか?と思った。理由のひとつにお金が高くつくのではと思った。部活動でも会費は払うには払うと思うがクラブの方が高くつくのではないか?と思った。次に、中学や小学生の時は部活動はある程度強制であった。だから、クラブとなると本気で取り組まなければならない。(部活動は本当はしっかり取り組まなければならないが少し動く程度やそこまで本気では無い人もいる)親は運動して欲しいだが本人は運動する気があまりないがとりあえず運動部に入って欲しいって言う親は少なくないとは思う。そんな中、クラブに入れるとなると親も子も部活動じゃないなら入らないという子が増えると私は思った。そしてそれが運動不足や家でのゲーム・携帯時間が増えるのでは?と思った。先生の部活動の負担を減らす事を一番に考えると1番良い案ではあるが親目線だと現実的では無いと私は思った。

今回の授業を通して部活動は行わない方がいいと思いました。子どもが運動をしたいならば地域のクラブなどに通わせるなど先生に負担をかけすぎないと言うことが大切だと思いました。それでは子どもたちが発達に置いて運動も必要となってくるのでそこのところは体育などで体を動かすというようなことで対応すれば良いと考えました。実際の高校の先生の話を聞かせてもらい本当に先生の時間外労働などの問題が深刻化してきているのだなと生で実感することができました。政府も先生が部活の顧問をやるという概念を取り上げるべきだと思いました。もっと軽率に見ないでしっかりと考えて変えていかなければ先生たちが少なくなったりうつ病などが増えるばかりだと思うのでしっかりと問題視してよく考えてほしいです。

私は今回のお話を聞き人によって意見があり感じ方捉え方は様々であると感じました。私は幼い頃からバレーボールを行っており体を動かすことは大好きです。小学校のスポーツ少年団、中学での部活、クラブ活動、高校での部活全てで高い目標を掲げ取り組んできました。その中でたくさんの先生方と出会いもちろん考えが合わない先生もいましたがたくさんの先生やコーチが真剣に向き合い私達を強くするため、目標を達成するために指導してくださいました。私自信が教員になるために学んでいる中で時間外労働、過労死など教員側の大変な部分もたくさん見え、新しく知ることができたこともたくさんありました。しかし、休みなく毎日部活に没頭し切磋琢磨してきた仲間と先生コーチとの時間は先生方にとっては苦痛な時間だったと考えるととても悲しく思いました。

 最後になりましたが、3年連続で講演をご依頼いただいた白岩先生に心より感謝申し上げます。私たちの話が「現代社会における教育」という科目の中で何らかの役割を果たせていたら幸いです。


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