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部活動に関する「請願」提出の経緯と要点と想い

2022年3月5日


 こんにちは。茨城部活動問題対策委員会(BMTI)代表の神谷です。先月、茨城県教育委員会に2種類の請願を行いましたので、その経緯と要点を紹介させていただきます。



請願提出の経緯


 前回の記事でも触れたように、BMTIは全国的な協議体である「全国部活動問題エンパワメント」(PEACH)に加盟しています。今回の請願は、PEACHとして初の取り組みということになりました。「請願」とは国や地方自治体に意見や要望を伝えることであり、その権利については日本国憲法第16条に規定があります。請願の一般的な手続きを定めた請願法では、官公署は請願を「受理し誠実に処理しなければならない」(第5条)とされています。例えば、愛知県・東京都・鳥取県などの教育委員会は、提出された請願の全てまたは一部を教育委員会会議で審査する旨の規定を置いています※1


 「PEACHとして初の取り組み」と書きましたが、請願提出の主体はあくまでも加盟団体です。加盟団体の代表者による協議を踏まえてPEACH事務局が作成した文例を参考につつ、各団体が各地域の教育委員会に請願書を提出しました。私たちBMTIは、文例①をベースとした「全国中学校体育大会を主催しないことを求める請願」と、文例②および文例③をベースとした「公立学校教員に部活動顧問への就任を強制しないことを求める請願」を提出しました。



請願書の要点


 とりわけBMTIの活動目的との関連性が高いのが、「公立学校教員に部活動顧問への就任を強制しないことを求める請願」です。全文はこちらからご確認ください。この請願書のポイントは、「請願の趣旨」の2段落目にあります。教員に部活動顧問への就任を職務命令するためには下記①~④の条件を満たす必要があることについての周知徹底を求めました。


 ①~④は給特法および労働基準法の規定に基づくものですが、これら全ての条件を整えることは実質的にほぼ不可能です。教員に部活動顧問への就任を強いることがコンプライアンス上どれほど問題であるかを再確認できるかと思います。私たちBMTIとしては、中学校や高校における長時間労働の抜本的な縮減のためにも、コンプライアンス上の問題の解消のためにも、教員に部活動顧問への就任を強いるようなことは一律に禁止されるべきと考えています。そうした理由から、本請願では「教員が部活動顧問への就任を強制されないようにすること」を主な請願項目としました。


 今回提出したもう一つの請願は、「全国中学校体育大会を主催しないことを求める請願」です。全文はこちらからご確認ください。全国中学校体育大会(全中)とは、中体連や教育委員会が主催して行われる中学校運動部活動の全国大会のことですが、教育的な観点からも教員の働き方の観点からも問題の大きい全中を教育委員会が主催することは不適切ではないか、という趣旨の請願になっています※2


 こちらの請願については、BMTIメンバーである元中学校教員が特に力を入れて取り組んでくれました。全中がいかに部活動の過熱化をもたらしているかということや、教員(とりわけ中体連の役員)による無償労働を前提とした大会運営のおかしさを私に教えてくれた当該教員が中心となって、請願書のブラッシュアップを行うことができました。



「誠実な対応」を求めます


 これまでBMTIは、茨城県教育委員会(県教委)に何度も要望書や質問書の提出を行ってきました。県教委のご担当者様は、お忙しい中にもかかわらず面談や文書で回答を行っていただきましたし、ご回答の節々からは部活動における「負担軽減」に向けて精力的に取り組んでいる様子も伝わってきました。しかし、要望書や質問書における最も肝心な部分に対しては「回答になっていない回答」しか返ってこなかった過去があります。


 県教委は今年2月に「部活動改革会議」なるものを立ち上げ、有識者や教育関係者ら11名で今後の部活動の在り方を検討するとの情報を目にしました。もし県教委が部活動改革に本気で取り組むつもりであれば、私たちのような市民の声にもしっかりと耳を傾け、今回こそは誠実な対応(=本請願の採択または請願趣旨に沿った回答)をしていただけるものと信じています。


 

※1 請願の取り扱いが都道府県間で異なる点については、PEACHによる以下の記事をご参照ください。「教育委員会への請願をもっと出しやすくしたい!」(2022年1月25日)。「教育委員会に請願が届かない問題」(2022年1月26日)。「請願は陳情・要望とは違います」(2022年2月2日)。


※2 全国高等学校総合体育大会(インターハイ)についても同様の問題を指摘できます。


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