2021年3月26日
こんにちは。代表のY改め神谷です。この度、茨高教組さんからのご依頼で、「教育のつどい」というイベントにて部活動問題に関する報告と問題提起をさせていただきました。本ブログ記事では、その概要と発表後の「討論」について簡単に報告します。
“部活動改革なくして働き方改革なし”
「教育のつどい」とは、茨高教組さんが毎年開催しているイベントで、今年は3月14日にオンラインでの開催となりました。組合関係の方々を中心に20名弱の参加があり、中には「ツイッターで知った」と他県からの参加もありました。この日は、部活動問題に関する私からの報告と、特別支援学校に勤務する教員の方からの実践報告があり、どちらにおいても活発な意見交流が行われました。
〈部活動〉と〈働き方改革〉という2つのキーワードを与えられた私が真っ先に思い付いたのは、学習院大学の長沼豊教授がよく口にする「部活動改革なくして働き方改革なし」というフレーズでした。そこで、なぜこのフレーズがしっくりくるのかを私たち(茨城部活動問題対策委員会)なりに考えてみたところ、①部活動の負担の大きさ、②教育活動における優先順位の低さ、③教員に顧問への就任を命じることの違法性の高さ、の3つに整理できることに気づきました。
これら3つについて詳しく解説した後は、「そもそも働き方改革とは何なのか?」という一回り大きなテーマにも踏み込みました。学校における働き方改革の必要性が叫ばれるに至った背景としては、教員が忙しすぎて教育活動に支障が出ていることと、教職が学生から「ブラック」認定されることで優秀な人材が集まりにくくなっていることの2つが考えられます。問題解決のためには、これらに真正面から対処すること、すなわち「教員一人あたりの業務量を減らす」ことと「違法・脱法の疑いがある案件をクリアにする」ことが重要です。どちらにも部活動が深く関わっていることは言うに及びません。
最後に、働き方改革の現状について、「見かけ上の勤務時間を減らそうとする取り組みが先行しているのではないか」と問題提起させていただきました。これについては昨年11月14日投稿の記事で詳述していますので、気になる方はそちらをご覧ください。
「段階的な地域移行」を待っているだけで良いのか
私からの報告・問題提起の後は、40分ほど討論の時間が設けられました。全体として、私が発表した内容に対する意見や反論というよりも、部活動を取り巻く様々な問題についての確認や意見交換がメインでした。その中から、とりわけ印象に残ったものを2つ紹介させていただきます。
一つは、昨年9月に文科省が発表した「休日の部活動の段階的な地域移行」についてです。「平日は教員が指導しなければならない状況が維持されてしまうのではないか」「平日と休日で指導者が変わると生徒が混乱するのではないか」といったご意見がありました。私からは、文科省の政策は完全な地域移行に向けての第一歩として評価できるものの、「段階的」であるため実現が保証されておらず、決して安心できるものではない旨をお伝えしました。地域の「受け皿」が整うのを待っていたら、いつまでたっても教員に部活動指導が押し付けられかねません。まずは「教員に部活動顧問への就任を強制してはならない」ということが明確にされるべきではないでしょうか。そうなって初めて「地域で何とかしなければ」と様々な動きが出てくるものと思われます。
もう一つは、他県で教員をしている方からの報告です。私の記憶が正しければ、勤務時間外の部活動に立ち会う必要性について、校長から「そこはグレーゾーンだね」と言われたとのことでした。校長としては、学校側の安全管理上の責任から顧問教員に立ち合い指導をさせたい一方で、勤務時間外のサービス残業を命じるわけにもいかないがゆえ、上記のような言葉になってしまったのだと思います。現在の部活動は、生徒にとっても不利益が大きく、もはや制度として破綻しているのではないかとさえ感じました。
今回のイベントを通じて、部活動の「おかしさ」を再確認できたばかりでなく、私の知り得なかったような情報も新たに入手できました。私を講師としてお招きいただいた茨高教組さんには心より感謝申し上げたいと思います。
※私たち茨城部活動問題対策委員会は、広報・世論喚起の一環として、様々な機関からの講演依頼を受け付けております。HP上のフォームからお気軽にご連絡・ご相談ください。
Kommentare